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2023.06.26 [ コラム ]

会計事務所の年収はいくら?資格の有無による違いや年収アップ方法も

会計事務所の年収はいくら?資格の有無による違いや年収アップ方法も

会計事務所で働いている方の年収は低いと言われることがありますが、実際の給与は所持している資格や経験年数によって大きく異なります。平均よりも給与が低い職場もありますが、スキルを身に着け、会計や税務の知識を得ることで高収入も目指せる仕事です。

当記事では、会計事務所で働いている人の年収と給与を左右する要素、さらには年収アップのための方法を詳しく解説します。会計事務所でキャリアを積んでいきたいと思っている方は、ぜひ当記事を参考にしてください。

 

1. 会計事務所の年収は?

会計事務所に勤める人のみの年収統計はないものの、会計事務所で活躍する職種である公認会計士・税理士の平均年収は約747万円となっています。

出典:e-Stat「賃金構造基本統計調査」

ただし、会計事務所で働く人の年収はさまざまな要素によって左右されるため、誰もが平均年収に近い収入を得られるとは限りません。ここでは、会計事務所における年収に影響する要素について解説します。

 

1-1. 資格の有無による年収の違い

会計事務所では、資格の有無によって年収が大きく変動します。特に公認会計士・税理士の資格を所持している場合、未経験であっても平均年収は約481万円となっています。ただし、この数字は所定内給与額であって、所定労働時間外の手当は含まれていません。実際の年収はさらに高くなる可能性があります。

出典:e-Stat「賃金構造基本統計調査」

一方で、資格のない未経験者の場合は、250〜300万円程度の年収からスタートする会計事務所もあります。

また、税理士試験は5科目に合格すれば資格が取得できる仕組みです。正式に税理士資格を取得する前であっても、科目合格者であれば合格科目が多いほど税理士の有資格者に近い知識を持つ人材と考えられ、年収が上がることもあります。

 

1-2. 会計事務所での年収を左右する要素

資格の有無以外にも、次のような要素によって会計事務所での年収が左右されます。

・経験年数

会計事務所では、未経験者をじっくり育成するのは難しく、経験者が優遇される傾向にあります。経験年数が長いほど、スキルも高いと考えられるためです。

・担当業務(スキル)

会計事務所での業務は、会計入力・庶務から税理士補助、税理士・公認会計士まで幅広く、各業務ごとに求められるスキルもさまざまです。そのため、経験年数が同じ程度でも、担当業務によって年収に差が生じます。特にクライアントを担当する税理士補助や税理士・公認会計士は高い年収が期待でき、クライアントが増えるほど年収が高くなる傾向にあります。また、一般職より管理職としてチームを運営する場合も年収が上がるケースがほとんどです。

・地域

会計事務所で働く人の年収には地域差も大きく影響し、都市部のほうが地方より年収が高い傾向にあるとされています。都市部は地方より年収も高い一方で物価も高く、物価の安い地方では給与も低くなりやすいのが特徴です。都市部と地方では、年収は100万円ほどの差が発生することもあります。

担当業務やスキルは資格の有無とも関連があるものの、地域差による年収の差など、個人のスキルに直接関係ない要素も年収に大きな影響を与えていることがうかがえるでしょう。

 

2. 会計事務所は年収が低いと言われる理由

会計事務所で働く人は年収が低いと言われることもありますが、次のような理由があります。

・給与体系や福利厚生が会計事務所によって異なる

給与体系や福利厚生は会社ごとに整備状況が異なり、大企業ほど整備されている傾向にあります。ただし、会計事務所は従業員5人以下の零細事務所も多く、事務所によっては各種制度が整備されていない事務所も少なくありません。昇給などの制度が整備されていない事務所の場合、経験年数が長くなっても収入が上がらない恐れがあります。くわえて、有給などの福利厚生が整備されていない場合、収入に比べて待遇がよくないと感じてしまうせいで、年収が低いと言われます。

・正社員以外の従業員が多い

会計事務所では、会計入力・庶務など税理士や公認会計士の補佐を行うスタッフとして、正社員以外の従業員を採用することが多くあります。正社員以外の従業員は求められるスキルもさほど高くないので、年収が低くなる傾向にあります。正社員以外の従業員は人数が多いため、全従業員の平均年収を考えると低く見えるでしょう。

会計事務所で働いている人の年収が必ずしも低いとは限らないものの、働く条件によっては実際に年収が低くなるケースは多く見られます。

 

3. 会計事務所で年収を上げるには?

会計事務所での勤務を志望する場合、最終的に目指す働き方がある人も少なくないでしょう。経験を積んで自分の理想のキャリアを叶えるためにも、少しでも良い条件で働き続けることが大切です。ここでは、会計事務所で年収を上げる具体的な方法を解説します。

 

3-1. 資格取得を目指す

資格を持っていない場合は、会計事務所での勤務の助けになるような資格を取得すると年収アップにつながるでしょう。ここでは、会計事務所で重宝される資格として、公認会計士・税理士・簿記について解説します。

・公認会計士

公認会計士は、会計のプロフェッショナルです。国家資格であり、会計に関する資格試験では最難関となっています。監査業務を行えるのは公認会計士のみであることから、監査を行う会計事務所や監査法人では重宝されます。

出典:日本公認会計士協会「公認会計士について知る」

・税理士

税理士は税務のプロフェッショナルです。申告など税務の代行や税務署類の作成を行い、納税者をサポートします。税理士は公正公平を求められ、社会的な信頼性が高い資格です。大学や専修学校で社会科学について学んだり、会計に関わる業務に2年以上関わることで受験資格が得られます。また、公認会計士の資格を取得する際の短答式試験に合格すると税理士試験の受験資格も得られるので、公認会計士資格とあわせて取得に挑戦してみるのも1つの方法です。

出典:日本税理士会連合会「税理士とは」

・日商簿記

日商簿記は、会計業務の中でも経理・簿記に特化した資格です。資格試験は商工会議所が主催しており、会計事務所で働くには必須と言ってよいでしょう。公認会計士や税理士と比べると手軽に取得できるイメージがあるかもしれませんが、1級は合格者数が10%程度と言われる難関となっています。会計事務所で働くのであれば2級以上、できれば1級を取得するのが望ましいでしょう。

出典:商工会議所の検定試験「簿記とは」

公認会計士・税理士ともに、資格取得には一定の実務経験が必要となるため、働きながら取得することになります。資格取得を目指すのであれば、最低限でも日商簿記は取得した上で、税理士・公認会計士へとステップアップを目指してもよいでしょう。

 

3-2. 経験を積む

経験を積むと言っても、単純に経験年数を重ねればよいものではありません。会計事務所で働く上で必要なスキルの獲得を意識しながら経験を積み、仕事の幅を広げることが大切です。

会計事務所で働く上では、税務や会計などの専門性や営業・コンサルのスキルを身につけるとよいでしょう。スキルアップの方向性は、自分が目指すキャリアアップの方向性と照らし合わせると、思い通りのキャリアパスが描きやすくなります。

 

3-3. 転職をする

会計事務所での年収は、事務所そのものの規模や立地などに影響されるケースも多々あります。転職し、より自分のスキルを生かせたり、新たなスキルを身につけられたりする会計事務所で働くことで年収アップを目指すのも1つの方法です。

ただやみくもに転職しても、年収アップにつながらない恐れがあるため、転職先の事務所を選ぶ場合は自分にあった事務所を選びましょう。

会計事務所を選ぶにあたっては、自分の望むキャリアを目指せるかを確認することが大切です。たとえば、将来公認会計士として活躍したい人が、監査業務を行わない小規模な事務所を選ぶと、志望と実際の仕事の間にミスマッチが起こります。キャリアと実際の仕事のミスマッチを防ぐには、事務所のクライアントの業種を調べるのもおすすめです。

年収アップを目指すのであれば、転職先の事務所で目指す年収に到達できる可能性があるかを確認することも大切です。待遇面の条件や、小さな事務所であれば収益拡大の意思があるかどうかなど、面接時に失礼のないように確認するとよいでしょう。

 

まとめ

会計事務所で働いている方の年収は、税理士資格・公認会計士資格の有無や経験年数、これまで身に着けてきたスキルによって変動します。税理士資格や公認会計士資格を持っていると高収入を得やすい傾向にありますが、従業員の少ない零細事務所では給与制度がきちんと定まっていないこともあるため、注意が必要です。

公認会計士や税理士の方が職場を選ぶ際は、自分のやりたい業務とキャリアを考え、職場で希望が叶えられるかどうか必ず確認しましょう。

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